Re: iPhone & iPad対応Bluetoothキーボード (@平成鸚鵡籠中記)
親指シフトの目指していたものは何だったのか。
http://bunzaemon.jugem.jp/?eid=13079
キーボードといえば一時期、エルゴミクスデザインのキーボードが流行りましたが、打ちやすい割に普及しなかったのは、親指シフトと同じで、やっぱりクセのものだからでしょうね。
ここではエルゴ[ノ]ミクスキーボードと親指シフトを同様に扱っています。これについて少し考えてみました。
ここに指摘されているように「普及しなかった」ということが両者に共通なのは間違いないでしょう。また、キーボードによる文字入力を楽にしたいという根本にある願いも共通であると言ってよいでしょう。
ただ、私は親指シフトはエルゴノミクスキーボードが目指していたところよりもっと根本的なところを考えていたのではないかと思っています。
それは、まず親指シフトは「日本語の入力」という難題を解決しなければならなかったということがあります。英文の入力について考えると、タイプライター時代から現在のコンピューター時代までの技術革新は、主要なものは次の3つに尽きるのではないかというのが私の考えです。
第一は文字配列を合理的なものにするというものです。有名なところではDvorak配列があります。
第二はキーボードの物理的な構造を変えるものでいわゆるエルゴノミクスキーボードがこれにあたります。これ自体は大変面白いもので、キーボードを二つに分割したり、キーを水平ではなく垂直にしたりといろいろなものがあります。
第三はリアルタイムのスペルチェックや入力補完のようなソフトウェア的入力支援です。コンピューター技術の進歩でいろいろなものが考えられました。
このような英文入力の状況とは異なり、日本語入力の問題はもっと複雑でした。日本語ワープロの黎明期にはこれを解決するために多くの努力がなされました。そうした中で現在主流となっているのはキーボードを使ったかな漢字変換によるものであり、親指シフトはその中でずっと生き延びてきているのです。
親指シフトは親指との同時打鍵という革新的手段で通常使われるかな文字を使いやすい場所に置くとともに、文字配列も見直しました。これは英文入力における技術革新を超えたものです。
それだからこそ親指シフトはまだ「伸びしろ」があると私は思います。現在の文字配列をさらに変更して改良しようとする人もいます。キーボードをエルゴノミクスにすることもできます。実際、富士通はそのような試みをしたことがあり、それが世に出なかったのは技術的な問題というよりは営業的なものでした。
さらにいえば、日本語以外でも親指シフトが応用可能ではないかと考えられます。これはまだ理論的な可能性ですが、こうした「夢」を持ちたくなるのが親指シフトの真に革新的なところなのです。
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