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2009/11/18

Re: 親指シフト(@フォトリーディング de 人生革命!)

親指シフトに移行しなかった人の経験。
http://blog.livedoor.jp/pr_master/archives/775933.html

まず、結論から言うと親指シフトを止めて、今まで通りのローマ字入力を使うことにしました

(中略)

しかし、何と言っても親指シフトを使っている時のストレスに耐えられなくなりました

それとともに、ローマ字入力を使った際の、「なんてスムーズに入力できることだろう」というハッピーな感覚

ローマ字入力に戻ると、親指シフトに戻るのが億劫になります

この方は2カ月間、親指シフトを試して結論的にはそれ以前に使っていたローマ字入力に戻ることとされました。

親指シフトを使うことがストレスとなるというのでしたら、それもしょうがないことかと思います。どんな道具でも使ってみて納得がいかなければ使う必要はありませんから。

ただ、親指シフトのセールスマンから見ると、この方の経験にはいくつか分からないことがあります。

例えば、親指シフトの実装の方法はどのようなものだったか、キーボードは専用か、そうでなければどのようなキーボードを使ったのか。親指シフトの練習はどの程度の頻度、密度でどのような方法で行ったのか。この間、それまでの入力方法とは併用していたか、もし併用していたなら、入力作業全体に対する割合はどの程度だったか。

今までの入力方法での入力速度はどの位で、親指シフトにしたらどの位になると期待していたのか。親指シフトに期待していたことは何だったのか、期待と現実のギャップはどこにあったのか。

こうした点は、親指シフトを売り込もうとする場合にそれが成功するかどうかを判断する重要な指標となるというのが私の考えていることです。

反対に言えば、こうした点について必要な情報が不足している場合は売り込みがうまくいかない場合が多い気がします。

親指シフトを試したいという人がいるのは大変ありがたいことです。そうした人は貴重です。それならばそうした人がすくなくとも期待と実現できることのギャップに驚くことがないよう、必要な情報をきちんと把握しておくことは大事なのです。

以上の一般論を踏まえた上で、私やウェブ上で見る他の方の経験、さらには物事の学習に関して一般に言われている理論などをまとめると、親指シフトの練習については次のようにするのが良いと思います。これに関しては、皆さんの経験にもとづくコメントなどいただければ幸いです。

何か新しい技術を習得しようとする場合、難しいのは一番最初です。これは、最初は成果の伸びが遅く、習得の実感を得ることができないため、練習のモチベーションにも影響を与えるという可能性があるからです。

だから、最初の時期をなるべく早く通過してしまうことが学習の効率を上げるためには効果的と考えられます。そのためには、練習に集中できるなるべく良い環境を用意し、ある程度の頻度と密度で練習することが良いと考えられます。

親指シフトの練習で言えば、親指シフトに適したハード・ソフトの環境を整えることが役立ちます。できれば専用キーボード、それが可能でなくてもなるべく親指シフトにし易いキーボードを選択した方が良いでしょう。

最初は成果の伸びがあまり期待できませんから、そのことが練習をする気をディスカレッジしないように、スムーズに使えている現行の入力方式との併用は控えた方が良いと思われます。

そして、しかるべき頻度と密度で、例えば毎日30分ずつの練習を2回、毎日続けることが良いでしょう。

練習のためのソフトとしては「親指シフト練習」のような、段階を経て容易なものから難度が高いものに移っていくもの、そして成果が分かりやすい形(例えば一分間あたりの入力文字数)で示されるものが良いと思われます。

私の個人的経験で言えば一分当たり100字程度の打鍵ができるようになると、スムーズに入力できるようになったという実感が出てくる気がします。それまでもっと速い速度で入力していたとしても、このレベルなら「使いやすさ」が感覚的に感じられると思います。そうなればしめたものです。

一回の売り込みで失敗しても、それを次の売り込みにどのように活かしていくかを考えるのがセールスマンの腕です。親指シフトコミュニティー全体でこうしたセールスマンシップを持つことが大事だと私は思います。

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コメント

リンク先のブログを読みましたが、いきなり本番用の文章を作って挫折したのではないか?と感じました。

わたしは、飛鳥配列に取り組んだことがありますが、挫折しています。

じゃあ、なぜ親指シフトは出来たのか?となると、基本練習メソッドがあったからではないのか?と考えます。

いわゆる「はときん・せけてしう」ですね。

この部分が全く無し、つまり練習せずに本番用は難しいでしょう。
飛鳥配列については、一言で言えば「まじめに練習していないから出来なかった」と言えます。

基本的な単語だけの入力練習は、どんなキーボード配列にも有効かもしれませんね。

「にほん」「はじめまして」「おんしゃ」なんてビジネスなどに良く出てくる単語を繰り返し入力して、とりあえず手が動くようになってから、文章に取りかかる、というのが現実的だろうと思います。

親指シフトについてだけであれば「はときいん」でも良いのでしょうが、日本語入力を楽にする、という観点では「単語」「文節」「センテンス」と進むメソッドを作るのが良いでしょうね。

ギッチョンさんが先頭で、作りませんか?(^_^)

投稿: 酔うぞ | 2009/11/18 14:15

 リンク先の記事については、実際にある程度の期間試した結果、ローマ字入力の方がスムーズだと感じるのであれば、ローマ字入力に戻るのも当然の選択だ、と思います。

 ところで、親指シフトを練習し始める際に、現行との入力方法を併用して良いかという点ですが、わたしは併用しても良いと考えています。
 わたしは新しい配列を覚えてみるということを何度もしています。その際、新しい配列では十分に入力できない段階で文章入力が必要になった場合は、ローマ字入力を使用しました。それで新しい配列の習得に悪影響があった、という感触はありません。

 併用してはいけないということだと、まず、併用しないという環境を作ることが不可能だという場合があると思います(職場ではローマ字入力を使わざるを得ない場合など)。

 併用しない環境を作ることができたとしても、親指シフトを使い始めてすぐは文章の入力速度が非常に遅くなります。そのときに急を要する文章の作成を迫られたら致命的です。急を要する文章でなくても、入力作業の時間がいままでの何倍もかかるというのは、大きなストレスになると思います。

 最初のうちは、親指シフトの練習は「親指シフト練習」のような練習用のテキストを入力するだけにする。実際の文章入力は今まで使っていた入力方法で行う。
 1分あたり100字程度打鍵できるようになって、自分でもそこそこ打てるなと感じたら、実際の文章入力でも使ってみる。その際でも、入力を急ぐ必要がある場合は今まで使っていた入力方法を使っても良い。
 このくらいの方がストレスがたまらなくて良いのではないか、と考えています。

投稿: kouy | 2009/11/18 20:44

酔うぞさん

親指シフトに限らず、何か新しいことを学ぶ場合どんな方法が効果的かは学習者により異なるわけです。それでも最大公約数的なところはたいていあるような気がします。

基本練習メソッドというのはたいてい退屈なようなものですが、やはり長年の経験に裏打ちされていることで、結局は早道だという場合が多いと思います。

私は外国語の練習方法にも興味があり、そちらのブログにもいろいろ書いているのですが、やはり基本的な事項はきちんとやっておいた方が後々役に立つ気がします。「これさえやったらすぐに英語がネイティブと同じに話せる」などと言っているメソッドはたいてい詐欺まがいです。

学習者からすると退屈な基本練習メソッドの段階をどのように興味を失わないで早く通り抜けるかという点が大事だと思います。そのためにはある程度集中して、最良の環境で練習することが効果的だと思います。ただ、これにはコスト(金銭的なものだけでなく)がかかるので、その投資をどのように正当化させられるかというのが難しいのでしょう。

親指シフトに関して言えば、習得が易しいホーム列の文字で実際によく使われる単語、文節、センテンスが作れるので、その面からも習得は容易なのかもしれません。

おっしゃられているメソッドとしては「親指シフト練習」や専用機のOASYSについている練習ソフトがすでに実現している気がします。私が下手な技術で作る必要もないと思います(笑)。

kouyさん

親指シフトの練習と現行方式を併用して良いかどうかについては、確たる証拠があるわけではありません。このあたりは、人による違いも大いにあるとも思います。また併用しないという環境を作ることがきわめて大きなコストを伴う場合があることも理解しています。

その上で、私が併用を勧めないのは、そうしたコストを払っても学習の最初のフェーズを早く通り抜けることの利益の方が大きいと考えるからです。

また、親指シフトでの進歩が遅いことがストレスにならないようにするには、現在のスムーズな方法をあえて封印した方が良いと思うからです。

もちろん、これは人により違いがあるし、最終的には学習者自身の選択の問題です。実際にやってみないと分からないというところも多いと思います。

投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2009/11/18 21:33

併用はやむ得ない事ですよね。

日本語入力で捉えると、PCキーボードでも、自分の親指シフト機と共用のローマ字入力機を使えることは必須でしょう。

さらに、携帯電話や書店の検索機など公共の場にある機器。

これくらいの使い分けは誰でも必要であって、親指シフトを使う理由は、公共や共用の環境よりもより効率の良い日本語入力システムを個人的に所有する。
ということで整理できるように思います。

この場合、会社でも自分専用のPCがあり、他の人は使わないという条件であれば個人専用と言えるでしょうが、実際のオフィス環境では意外と難しい条件です。

そんなわけで、現実的には「あなたは主に親指シフトで個人的独占できる環境がありますか?」というのは大きなチェックポイントかもしれませんね。

投稿: 酔うぞ | 2009/11/19 21:04

    >おっしゃられているメソッドとしては「親指シフト練習」や>
    専用機のOASYSについている練習ソフトがすでに実現している
    >気がします。私が下手な技術で作る必要もないと思います(笑)。

いえいえ、わたしのイメージは「親指シフトに特化した練習ソフトではなく、キーボードそのものを練習するための単語集のようなイメージです。

つまり、どの方式のキーボードでも有効なものが出来ないかな?
ということですね。

もちろん本式にやったら、ネット上から使用されている単語のランキングを検討するといった事になりそうですが・・・・・。

「このキーボードはどうかな?」と思うときに使える例文というは、キーボードに興味のある方は皆さん何か持っているのではありませんかね?

わたしは「日本語の入力は難しい」を使っています。

これをさらに増やせば「どんなキーボードでも短時間で慣れます」というものが出来ないかなあ~。(笑)

投稿: 酔うぞ | 2009/11/19 21:10

>併用はやむ得ない

事実上そうなるのはしょうがないでしょう。ただ、純粋に学習の効率だけを考えた場合どうかというと、私の仮説は併用しない方が良いということになります。なお、携帯電話や書店の検索機能は親指シフトとは大変かけ離れているので、親指シフトの練習には影響はほとんどないと見て良いでしょう。

自分専用のものであっても、組織のポリシーにより親指シフトを実現するような環境を作ることが不可能な場合もありますね。それを含めて「親指シフトで個人的独占できる環境」ができるのは大事だと思います。

>「親指シフトに特化した練習ソフトではなく、キーボードそのものを練習するための単語集のようなイメージ

入力しやすい文字や単語は入力方法により違うので、最初のフェーズを早く通り抜けることが大事であるとする私の仮説を前提にすれば、純粋に学習の効率の観点からは共通のものというのはあまり意味がないような気がします。

どのような入力方法でも、まずは易しいところを割合集中的にやって慣れることが必要で、それはテーラーメードの方が良いと私は思います。

親指シフト練習は楽しくできると多くの人が思っているのは、最初のホーム列の練習で割合よく使われる単語や文が出てくる(親指シフトはそのように作られているわけですが)のでやっていて飽きがこないということがあるのかもしれません。

そうしたフェーズを乗り越えたところや、おっしゃられるようなキーボードなどの評価をする場合では、実際によく使う単語や文章を共通のものとして使うのは意味のあることだと思います。

投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2009/11/19 23:48

杉田伸樹(ぎっちょん)さん

はじめまして。この記事の元ブログ筆者のMr. Aです。

私が実践した親指シフトの環境などについて追加の記事を書きましたので、何かのご参考になればと思いコメントさせて頂きました。

投稿: Mr. A | 2009/11/20 21:40

Mr. Aさん
どうもありがとうございます。コメントを作ったのですが長すぎて撥ねられてしまうようなので、改めてこちらの記事にしました。よろしかったらご覧ください。

投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2009/11/20 21:52

    >入力しやすい文字や単語は入力方法により違うので、
    >最初のフェーズを早く通り抜けることが大事であるとする
    >私の仮説を前提にすれば、純粋に学習の効率の観点からは
    >共通のものというのはあまり意味がないような気がします。

なるほど。
ここはわたしとは、ほとんど正反対ですね。

わたしは、キーボードなどにあまり関係なく、入力する機会が多い単語はあるだろう。
という観点からの考察です。

もちろん、目的はキーボードの評価と練習であって、上手になること自体は目標にしないわけです。

例えば、親指シフトが一番楽だとして、飛鳥配列など別の「これが一番」な入力方式はあるし、今後も出てくるでしょう。

最初はローマ字入力だって、親指シフトだって分からないわけです。

 1 分からない
 2 何か書いてみる
 3 ちょっと慣れる
 4 まあ使えるようになる
 5 普通に使えるようになる
 6 他の方式と比較出来るぐらいの完成型になる

といった「進歩」があるのだろうと思います。
この進歩を異なった入力方式でたどることが出来ないものか?
と思うのです。

ぎっちょんさんのおっしゃる通りそれぞれのキーボードで「これを練習しましょう」はなんらかの形でありますし、多くの場合はそのキーボード向けにできているから、なかなか良いデモでもあります。

しかし、それでは「比較が出来ない」
結果的に、慣れない方式に挑戦すること自体が大変だとなります。

わたしは仮に「にほん」と入力するのを、色々なキーボードで比べてみるとか、自分の名前を入れてみる、といったことは割と多くの方がやっているのではないかな?と想像しています。

こんなことを、まとめたらどうなるかな?ですね。
ちょっとやってみようかな(^_^)

酔うぞ拝

投稿: 酔うぞ | 2009/11/20 22:51

何か分からないけど新しくて良さそうなものを試そうとするとき、それを正当化するやり方はいろいろあります。理論的に詰めて、これなら大丈夫そうだと完全に納得するやり方とか、試験的に使ってみてその感じで判断するとかです。

親指シフトを勧める場合、どの戦略でいくかと言うと、私は理論でいくのが一番良いのではないかと考えています。これは、親指シフトは習得にそれなりの時間がかかること、理想的な環境を作るには現在の状況ではコストがかなり高くついてしまうことなどがその理由です。

理論で考えるだけ考えて、これだと納得してもらったら実際に習得する場合は他のことを考えずに直線的に最も効率的な練習方法を採用する。こうすることにより、学習の過程(特に最初のフェーズ)で感じる伸び悩みをなるべく少なくする。これが私の考える売り込み方(笑)です。

もちろん、他の売り込み方もあるわけで、実際に少し試してもらうようにしてみることも可能性としてはありだと思います。

ところで、「日本語の入力は難しい」は親指シフトだと少し難しいですね(笑)。

投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2009/11/21 20:21

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