Re: バブリーだったあの頃(@そろそろお茶にしませんか?)
親指シフトを使うのはどういう人だったか、今は誰が使うのか。
http://blog.goo.ne.jp/taruho0315/e/b53597a406d5eeeaac13af979bd95ddb
今から16~17年前…
(中略)
現在では、PCによる文書作成なんて、別に専門のオペレータでなくても、誰でもできて当り前の時代ですが、当時はまだ現在のようにPCではなく、ワープロ専用機というものが、書類作成に使われていた時代です。
特に大企業で使われていたワープロは、富士通のOASYSがトップシェアを独走していて、その中でも親指シフト入力ができる人材は、スペシャリストだったわけです。
今から16~17年前というと、ワープロが登場して10年ちょっと経ったころで、まさしくワープロ専用機という製品のジャンルが佳境を迎えていたころでしょうか。もしかすると、もうそろそろワープロ専用機からパソコンへと重点が移り始めたころかもしれません。
ワープロ専用機がかなり普及した当時でもそれを使う人はまだ「専門家」という位置づけがされていたことが分かります。そうした中で、親指シフトでOASYSを使うことができる人は特に優れたスキルを持ったスペシャリストとしての扱いを受けることが多かったのも見てとれます。
時代が下り、ここに書かれているように、専門のオペレーターではなく誰でもがパソコンを使って普通に作業を行う(その中で文字入力はかなりの部分を占めるはず)ようになってきました。こうした中で専門家向けと考えられてきた親指シフトも力を失ってきたといえるのではないでしょうか。
誰もが自分のパソコンを使い作業を行うという時代が来るということをきちんと見越して、文字入力の問題も考えておくべきだったということは、今になっての後知恵でしかありません。
もちろん、親指シフトのコミュニティーでも20年前(1989年)に日本語入力コンソーシアムが創設されて、新しい時代に相応しい(多くの人が普通にパソコンを使って作業を行う時代の要請に適応したという意味で)普及の体制が作られました。しかし、その後の展開は残念ながら親指シフトにとって大成功ということにはなっていないのは明らかでしょう。
それでも現在、親指シフトが多くの環境でそれなりの設定をすれば使えるようになっているのは大変なことなのかもしれません。
しかし、それ以上に親指シフトが使われるようになるようにするにはもう一歩の努力とプッシュが必要です。それに必要な要素が何であるかをきちんと見極めることがまずは大事なのです。
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コメント
パソコンへの移行時期、文字入力の問題はOADGによって考えられていたと思います。
ここで旧JIS準拠のOADGキーボードで統一されたことが親指シフトが力を失った最大の原因ではないでしょうか。
OADG会員個々の思惑などによって運命が決まってしまった話で、もう一度当時に戻れたとしてもやはり難しいのではないかと。
どこの会社でも専用のオペレーターがワープロ操作していたわけではないですし、親指シフトは思い入れの少ないユーザーが離れた後こそ「専門家」が使うものという認識が強くなってしまったようにも思います。
投稿: 宇治大君 | 2009/09/13 20:50
宇治大君さん、コメントありがとうございます。
このあたりの歴史はきちんと調べてないので何とも言えないのですが、確かにおっしゃれるようなところがあったのかもしれません。
親指シフトを推すのは事実上、富士通だけだったと見るのが妥当でしょうが、その富士通はパソコンのプラットフォームの転換への対応だけで手一杯だったので、親指シフトのことまで手や頭が回らなかったということかもしれません。
「親指シフトは思い入れの少ないユーザーが離れた後こそ『専門家』が使うものという認識が強くなってしまった」というのも確かに一つの見方かもしれません。OASYSの当初の意気込み(神田さんは1000万台普及するといっていた)からすると、専門のオペレーターだけが使うという想定ではなかったであろうことは推測できます。親指シフトについてもそれを標準とするという気持ちだったのでしょう。実際、個人向けのワープロは当初は親指シフトモデルだけを販売していましたしね。
投稿: 杉田伸樹 | 2009/09/13 21:58
ご無沙汰しています。
「それ以上に親指シフトが使われるようになるようにするにはもう一歩の努力とプッシュが必要です。それに必要な要素が何であるかをきちんと見極めることがまずは大事なのです。」
とありますが、見極めるのにあと30年もかけるわけに行かないと思います。
ということで、現時点において、「必要な要素」は何だと思われているのか、ご意見をお伺いしたいところです。
投稿: としき | 2009/09/15 23:11
としきさん、コメントありがとうございます。
「見極めるのにあと30年もかけるわけに行かないと思います。」というのは耳が痛いですね(笑)。私の言っていることに対しても、「評論家じゃないんだから・・・」という声が聞こえてきそうです。
私の言い訳としては「そんなに言われても私一人じゃできることは限られるし・・・(ぶつぶつぶつ)」と、まことに不甲斐ないものでしかないのをお許し願うしかありません。
その上で、最後の問にお答えするとすれば「きちんと考えられたビジネスモデルとビジネスプラン」なのだと思います。世の中に継続的に受け入れられていくためにはどのようなことをしなければならないかについての知識と、実際にそれを実行していくための知恵です。
普及活動とはすぐれて実世界との相互作用の中で行われるものです。ですから、実世界の論理と整合的なものが運動論として求められるわけです。組織的にやるんだったら組織のガバナンスといった問題もあるでしょう。こうした諸々の、ある意味でややこしいことを片づけながら進める必要があります。
もちろん、そんなこと言ってるひまがあったら、少しでも親指シフトを売る努力をしなさい、という言い方もできるかもしれません。実際、私がこのブログを書いていることよりも勝間和代さんの本の方が親指シフトユーザーを増やしているじゃないか、と私が言われるとすればそれは正しい指摘なのでしょう。
でも、私はこうした書生論は大事だと思います。たとえそれが、実世界を動かすことができないことの裏返しだとしてもです。
うまく答になっていないですが、こんなところでご容赦お願いいたします。引き続きの議論を楽しみにしています。
投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2009/09/16 00:08