Re: サービスに依存しすぎることのリスク(@個人的な体験・その他の雑感)
親指シフトは依存症?
http://d.hatena.ne.jp/islecape/20081203/p1
「親指シフトじゃないとだめだー」などと高価なキーボードを買う人についてとやかく言うつもりないが、変質していくサービスに合わせられる柔軟さを獲得するのも大事だと思う。自分が何に依存しているのか、そして、その依存にどれほどのリスクがあるのか、そしていざというときに果して乗り切れるか、そういうことを考えることも重要ではないか。
親指シフトが高価なキーボードであるというのは確かに現在の事実です。しかし、高価であることは親指シフトキーボードの本質的な性質ではありません。単に、売れていないから量産できずコストダウンの余地がなく、競争もないので価格を下げるインセンティブもないからです。親指シフトキーボードにすることが本質的に価格を引き上げることになるというのが間違いであることは、日本語ワープロ専用機がまだ実用だったころ、富士通のOASYSは親指シフトモデルとJISかなモデルが同じ価格で売られていたことからも明らかです。
親指シフトを使いたい人がキーボードが高価であることに満足であるはずはありません。私も大変不満です。ただ、現在の親指シフトを取りまく状況ではそれを甘受するしかなく、それでも親指シフトを使う快適さには替えがたいと思っているから使うのです。「とやかく言うつもりない」ということなので、あまりくどくど言うのもどうかとは思いますが、このような親指シフトユーザーの気持ちもご理解ください。
また親指シフトを使うことが依存であるかというのは考え方だと思います。親指シフトはコンピューターを使った文字入力という普遍的で基本的な技能に関する技術です。また、人間とマシンのインターフェースの最前線にあるということで大変個人的なものでもあります。そうだとすれば、自分の使いやすいものに統一できれば大きな利益になります。実際、親指シフトを使う人の中には、ウィンドウズだけでなく、マッキントッシュでも、あるいはリナックスでも、サブノートパソコンでも、果ては携帯電話(外付けキーボードを使って)まで、親指シフトを統一して使っている人もいます(こうした環境が整えられるのも親指シフトのすごいところです)。
確かに環境の変化に合わせて柔軟に対応できるようにすることの重要性は理解できます。ただ、その場合に個人にとって重要なインターフェースであるもの(親指シフトはその一つです)を変えるかは、十分な比較考量が必要です。私はそのようなものの変更は最後にやるべきで、他に変えられるものがあれば、それを変えることも選択肢の一つにするべきだと思います。実際、親指シフトユーザーの中には「親指シフトが使える」という基準で、例えばOSを変えたりする人もいるのです。親指シフトユーザーのリスク管理はここまでできているのです。
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コメント
トラックバック元です。他エントリも含め、興味深く拝読しました。
言及いただいたエントリは貧者の極論に過ぎません。道具を選ぶことの重要性は十分理解しているつもりです。親指シフトにあえて言及したのは、記事を書くときちょうどキーボードを使っていたため(当たり前)であり、とくだんに親指シフトユーザーを嘲弄かつ排撃しようなどという意図があったわけではありませんので、その点は悪しからずご了承ください。
自らの機能を拡張するためにいかなるツールを使用すべきかという純粋な観点からすれば、親指シフトはもちろん選択としてあると思います(残念ながら、個人的には導入の予定がありませんけれども)。いくら安いからといって、足に合わない靴を買う人はいないでしょうが、靴ほどには重視されないのがキーボード。お仕着せのものを使い続けることで、自らを型にはめている可能性も当然にあります。そういう意味での「柔軟性」も必要ですね(この点、示唆をいただけたと思っていますが、親指シフトに直接の関係はなく、またあまりにも長くなりそうなので別稿として扱わせていただきたいと思います)。
※なお、引用文にある間抜けな脱字はこっそり修正しました。
投稿: islecape | 2008/12/04 17:03
islecapeさん、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
islecapeさんが親指シフトを貶めようとする意図がないことは、文章を読んで理解していたつもりです。私の文章が拙く非難がましく見えたのでしたら申し訳ありません。
親指シフトは少数派であるため、そのような意図がなくても、誤解されてしまうところがあるような気がします。これも少数派の僻目なのかもしれませんが。私はぜひ、親指シフトをきちんと理解してほしい(これは手間はかかるし、成果はなかなか上がらないが、普及のためには絶対に必要)と思っているので、このような書き方になってしまうのかもしれません。これに懲りずこれからもよろしくお願いいたします。
投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2008/12/04 22:55