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2008/02/14

Re: キーボード問題(@だから問題はコミュニケーションにあるんだよ by com-lab)

親指シフトのどこが問題なのだろうか。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20080213/1202870104

しかし、キーボードを打つことにかけてはすでに十二分に速いと思っているので、これ以上の速さにはそれほど魅力を感じなかったのだ。せっかくほぼ完璧にタッチタイプできるようになったのに、今からわざわざ親指シフトを覚えるのも面倒なこと。さらにMacではそもそも親指シフトができない。

この方の言われることを分析してみましょう。まず、前半の「今からわざわざ親指シフトを覚えるのも面倒」ということに関しては、確かに今使っている入力方法で十分に満足して仕事ができれば問題はないのかもしれません。コンピューターによる文字入力は最終的には個人の判断で、それが最終成果物に影響を及ぼすわけではないからです。

さはさりながら、キーボード入力が初めてという人がタッチタイプを習っていこうとするときに親指シフトを例えばローマ字入力と比較すると、明らかに前者の方が覚えるのも早いし、到達できる入力スピードも速く、また使うのが楽だと感じられるというのは、実験でも確かめられているし、多くのユーザーが感じているところです。

もちろん、これまでの文字入力の経験などがことなる人それぞれがどのような入力方法を使うか、あるいは今使っている方法から別のものに変えるかは、簡単な問題ではありません。それでも、親指シフトが優れた方法であるというのは間違いなく、それが普及しないのは社会的な損失であると私は考えます。

後半の「Macではそもそも親指シフトができない。」というのは、事実に反しています。確かに、店から買っていたマッキントッシュに親指シフトができるようなハードやソフトがついているわけではありません。それでも、いろいろな人たちの努力によりマッキントッシュでも親指シフトが使えるようにするためのソフトが開発されてきています。最近では、商業ベースでもそうした動きがでています。
http://www.trinityworks.co.jp/software/NicolaK661EV/index.php

こうしたことが知られていないのは大変残念なことで、親指シフトのコミュニティーの力不足を素直に認めざるを得ないでしょう。

別のOSをとると、リナックスでは多くのディストリビューションでデフォルトの日本語入力プログラムとなっているSCIM-Anthyでは親指シフトの設定が簡単にできるようになっています。

親指シフトを使えるようにするのは確かに面倒なところはあるのかもしれません。それでも、これまでさまざまな努力で親指シフトを使える環境が維持されてきていること、そしてそれを求めるユーザーが常にいたこと、それに応える人たちも常にいたということは事実として重要なことだと考えます。親指シフトの未来を考えるにはこうした視点が必要なのです。

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コメント

まるで話が親指シフトキーボードそのものとはずれてしまうのですが、親指シフトキーボードがなぜ高く評価されたのか?という問題に直結するかもしれないことに挑戦中であります。

わたしはOASYS100の発表直後にショールームで触ったときの判断で「親指シフトにしよう」と決めました。

これは当時は現実的には連文節変換が完成した技術ではなく、文節変換を強いられたからで、漢字以外は無変換キーひらがなであることを指定するといった使い方でした。

当然修正も極めて多く、ローマ字入力とかな入力では本当にキーストーロク数が倍になるのではないか?という感じでした。

このためにわたしは今でも短い入力ですぐに変換キーを押してしまう癖が付いています。

長年ATOK使っていますが、ATOKの学習効果を活かせば同音異義語などの変換がより良くなるだろうと考えるのですが、短い入力でどんどん変換してしまうと学習効果が「最近変換した結果を優先する」のようなことになるようです。

ATOKの変換モードには変換キーを押さないでも変換する「自動変換モード」があるのでこれを使ってみることにしました。

問題は、わたしの指のクセの方で、どうしても変化キーを次々に押してしまうので「長文を入力して自動変換」にならないのです。

これに対応するのには「変換キーを作動させなければよい」という過激なことになりまして、ATOKの設定で「入力中は、変換キーも無変換キーも働かない」としてみました。

当然のように、ひらがな入力中に変換キーを触っても何も起こらないので延々と入力を続けることになります。

自動変換では、句読点変換の機能も働くので句読点を入力するとそこまでは変換されます。
ただし、変換しただけであって確定はしていません。

自動変換では確定も自動的に決まるので修正があった場合にいささか面倒になります。
しかし、自動変換した後は入力中ではなくなるので、変換キーで次候補を選択できます。

一週間以上これをやっていますが、漢字は正しいのだがひらがなの部分が間違っている、というのは減ったようです。

まとめてみると、親指シフトキーボードが初期に評価されたのは、変換能力の低さを操作によって補うのに都合良くできていたから、なのでしょう。

現在では自動変換で何とかなるようになったから、最初に無変換キーを使わなくなって無変換キーを確定(全文確定)にする人が増えてきた。

わたしはとうとう変化キーも積極的には使わなくなったというわけです。

実際には、句読点が内分を変化するためには変換操作は必要で、句読点を入力して変換してから句読点を削除する、といった方法もありますが、今のところ「入力中の変換」には「シフト+エンター」をあてています。

なかなか面白いですよ。

投稿: 酔うぞ | 2008/02/14 11:03

酔うぞさん、久しぶりです。

とても内容が濃いので、にわかに全部答えることができず、断片的な感想になってしまいますがよろしくお願いいたします。

その前に、いくつかの箇所で変換ミス?があるようですがこれも自動変換の結果でしょうか。

私自身は、OASYSを使い始めたのは30AFIIIです。この頃になると連文節変換もそこそこ実用になっていたのではないかと思います。実際、単文節変換では候補が多すぎ、また、関係ないものが多かったのに対して、連文節変換では、そうした例が少なくなっていた気がします。

このあたりは酔うぞさんが自動変換で感じる、変換効率のよさや間違いの少なさと同じなのかもしれません。

私は自動変換はほとんど経験がないため、そのありがたさは分かりません。それに加えて、私が考えているのは、日本語の正書法における漢字の扱いが書く人の裁量に大きくよっていることです。

これはどこかに書いた記憶があるのですが、文章を書いていくときに私はあまり漢字が多くなってなんとなく紙が「黒くなる」のがいやなところがあります。こうしたときに、あえて漢字をかなにすることもあります。

だから、同じ単語でも漢字で書くときもかなで書くときもあります。これは人によっては、とんでもないと怒られることなのかもしれませんが、私はそうは思っていません。裁量の余地が著者に委ねられているのだったらそれを使ってなぜ悪いのかと半分居直っています。

これがあるため、いくら自動変換が正しい変換結果をうむという面で進歩したとしても、変換(および無変換)を使わないというのは私には違和感が残るのです。

ということで、いまだに変換・無変換キーは使用頻度が高いままとなっています。

投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2008/02/16 16:42

ぎっちょんさん、こんばんは。

Mac で親指シフトがつかえない、という話が未だにちまたに広がっていることは残念ですね。トリニティワークスのような会社がもっと商用ベースで成功するようになれば、世間的な認知も代わるのでしょうが…

私もブログでも言及したことがありますが、PowerBookG4(PowerPCのノートブック)で、PS/2-USB変換器を使って親指シフトキーボードを接続できていますので、Mac で親指シフトが使えないというのは、完全な誤解ですね。他にもTeslaのようなソフトもありますし…何とかしようとすれば、なんとかなるものです。

変換方法ですが、単文節変換に慣れてしまっているので、せいぜい2文節か3文節程度の長さで変換しています。自動変換に頼ってながーく(確定することなしに)入力していると、途中で間違った時に直すのが面倒というのもありますし、さらに、うっかりエスケープキーを押して入力した文章が消えてしまうのが怖いからです。ATOK では試したことがないのですが、かつて、Mac用の日本語変換ソフトである EG-Brige で試した時は、800字程度まで入力できてしまったので、失敗したときにショックが大きかったです。

今も昔も「OAK最強!」と思っている人は少ないかもしれませんが、変換能力が低いのではなく、単文節変換の利点(その都度確定しながら入力していけば、後戻りが少ない)も考えた上での技術であるという風に、私は考えています。

投稿: Sio @ Sios Gadget Blog | 2008/02/17 00:15

変換方法ですが、いつも思うのはなぜEnterキーで確定しないといけないのかという事です。
これは入力のリズムを崩す最大の要因だと思っています。
その点、Japanist(OAK系)はそのまま入力出来るのでストレスがありません。

あとどこまで入力して変換させるかという点は、今は予測変換とかが充実しているのである程度は長く入力してから変換すると次から楽になりますね。重宝しています。

でも、素早く入力するには複文節程度の方が逆に効率がいいです。私もワープロ専用機時代からOASYSを使っていたので、急ぐときほど短いセンテンスで変換しています。これもEnterキーで確定することがないので出来ることなのかもしれません。

投稿: GAN☆ | 2008/02/17 06:59

ありゃコメントが沢山。

自動変換そのものが問題じゃなくて、技術的な進歩と使い方の見直し、といったところに興味が出てきました。

そもそも、なぜ親指シフトが初期段階で日本語入力システムの第一を独占することがで来たのか?
というところまで遡ってみるかな?というところです。

ここにコメントされている方はご存じでしょうが、日本語入力システムは、新聞社用などは極め高度な仕組みがずっと以前からありました。

おそらくは、そういう専門家仕様ではなくて一般オフィス仕様から個人向けにと一般化するためにハードウェアの進化とソフトウェアの進化とのバランスの関係で、その時々で優位なシステムが勝利したのでしょう。

そういう見方をすると、親指シフトキーボードは日本語入力に特化した一般向けのとハードウェアとなります。

「特化した一般向け」というのがすごく分かりにくいところで、振り返ってみるとJIS化問題は、ここを誤解していたところが大きかったように思います。

さて、ハードウェアだけではどうにもならないわけですが、ソフトウェアに限界があるからこの程度しかできない、というのは幾つもあって、さらにはシステムの中核になるコンピュータ本体やOSの能力によっても出来ることが違ってきます。

そんなわけで、周辺の進化によって現在できることを見直すと昔からやっていたことが必ずしも現在も合理的であるとは言いがたい、ことがあるのだな。と感心したということです。

親指シフターは割と短く変換していく癖の方が特に古くからやっている方には多いかと思いますが、わたしに関してはそのために変換の前後で文章が段々と首尾一貫しなくなる傾向があります。

もちろん文体なんてのはどんどん変わってしまう。

これが問題になるのは、ネット上の文章のように修正不可能な場合で、印刷物にするの場合には校正するからさほどひどいことになりません。

この前ちょっと考えていたのですが、紙に文章を書いて校正する場合には、例えば赤で修正を入れますよね。

そして、元文と修正文を比較して再修正といった手順になることが多いです。

普通のエディタなどですと(というか知らないのだが)修正は「消して書き直し」ですよね。

これは「赤を入れる」とは別の種類ですわ。

そんなわけで、日本語入力ではなくて「日本語文章作り」というの観点から技術的な可能性と文化的な要求といったものを見直してみるのも面白いなと思うのです。

投稿: 酔うぞ | 2008/02/17 12:53

Sioさん、コメントありがとうございます。

マッキントッシュで親指シフトができるということが知られていないことに関してはまったくおっしゃる通りだと思います。

そもそも親指シフトに関しては、まとまった知識データベースが見つけにくいということがあります。これは、マイナーなものにはつきものな現象ですが「とにかくこれだけ見れば」というワンストップサービス的なポータルがないのが弱いところです。

PS/2-USB変換器を使った親指シフト使用法は実は私もあまり知らなかったです。これももっと知られてほしいですね。

変換方式に関して、エスケープキーで書いたものが全部消えてしまうというのは、変換中のことでしょうか。ウィンドウズの世界では、インターネットエクスプローラーを使っていると、テキストボックスへの入力がエスケープキーで全部消えてしまうというのが、親指シフトユーザーの間では良く知られています。私もこのブログのどこかで書いています。これはブラウザを例えばファイアフォックスにすると回避できます。

単文節変換が後戻りが少ないというのは同感です。

GAN☆さん

私も「Enterキーで確定」というのは大嫌いです。これと「空白キーで変換」は日本語入力のもっとも酷いインターフェースだと思います。もしかしたら、日本語入力プログラムの設定で変えられるのかもしれませんが、それでも面倒ですね。

投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2008/02/17 12:53

酔うぞさん、タッチの差で先を越されてしまいました(笑)。

「特化した一般向け」というのは面白い考え方ですね。確かに「用途としては特定向けだが、ユーザーは一般」ということになりますね。

日本語入力をこうした枠組みで考えたときに、一番の制約となるのは「小型の鍵盤」ということになるのでしょう。つまり、机一つ分もあるような鍵盤は一般ユーザーが使うわけにはいかないので、必然的に今のキーボード程度の大きさというのは必須の条件になるわけです。

親指シフトの巧みなところは、この制約の中で一番合理的な方法をめざしたということでしょう。もちろん、かな漢字変換といった親指シフトだけのためでないソフトウェア的進歩も寄与しているわけですが。

最初の「特化した一般向け」に戻ってみると、「用途として特定向け」は実はだんだん当てはまらなくなっているのではないかというのが私の仮説です。つまり、仕事をするという環境を考えると、コンピューターを使うか使わないかに関係なく文章を作るという作業はつきもので、そうだとすればコンピューターを使う場合には文字入力は誰でも使う技術となります。

だから、文字入力の問題は今でこそ重要な問題となっているはずではないかというのが私の考えです。日本語ワードプロセサーの黎明期も日本語入力の問題は重要だったのですが、少し違った意味で現在は重要性が増していると思うのです。ときどき私が半分冗談で「親指シフトはWeb2.0だ」というのもこうした文脈です。

なお、私は校正をするときはたいてい印刷した原稿に赤インクを使うという方法をとっています(笑)。ただし、これは時間など余裕があるときで、そうでないときはワードの編集履歴表示を使っていたり、面倒くさくなると元の原稿をばっさり編集しています。もとの原稿のファイルだけはとっておきますけどね(笑)。

投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2008/02/17 21:07

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