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2007/07/16

Re: 経路依存性 破壊的イノベーション(@霊犀社2)

親指シフトに替えられないのはどうしてか。
http://blog.goo.ne.jp/raycy/e/ad68b096700198f875ebfbfb55ead7be

日本語のキー配列は当初JIS配列という、明治時代の外交官であった山下芳太郎氏が、1922年に米国のアンダーウッド社に発注した配列を元に改良が加えられたものです。その後、親指シフトやナラコード、トロンキーボードのような独自方式の他、新JIS配列という親指シフトの影響を受けたタイプ数の少ない配列も提案されたのですが、いずれも普及することなく、JIS配列のキーボードでローマ字入力という、ぱっと分かりにくいし効率的ともいえない方式が一般的となってしまっている訳です。こうして、あくまで偶然の初期条件の下で普及してしまったものが、後世まで支配的になり、他の標準や規格などが出現しにくくなることを「経路依存性」といいます。

なぜ効率などで優れている親指シフトが他の入力方法にとって替わられないかというのは、理論的な議論としてはいろいろ考えられます。

ここであげられている経路依存についても、私のブログの以前の記事で触れています。
http://thumb-shift.txt-nifty.com/contents/2006/04/re_6_7ae4.html
(コメントをご覧下さい。)

入力方式を替えようと考えている人にとって、新しい方式にスイッチしようとするためには新しい方式は相当のアドバンテージがなければ魅力的なものとはならないということも論じてきました。
http://thumb-shift.txt-nifty.com/contents/2005/08/re_pc2_29ba.html

さらに、多くのユーザーが使い普及しているということは、さまざまな情報が簡単に手に入る、教育もやりやすい、といった面で新参者に対して優位に立っています。これはネットワーク効果といってよいでしょう。

親指シフトを普及させようとするならば、こうした現行の方法が持つアドバンテージを超えるものを親指シフトが提供するということを潜在的なユーザーに対して納得させなければなりません。このためには、少なくとも必要な情報が手軽に手に入ることが重要です。親指シフトを普及させるためにはこうした地道な作業が最低限必要なのです。

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