Re: 親指シフトは、何時から「ネガティブなもの」扱いされるようになってしまったのだろうか……orz。(@雑記/えもじならべあそび(相沢かえでの生産革新日記……ではなく日本語入力反省記) )他1件
親指シフトを普及させるために必要なのは何か。
http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20070624/1182623926
【富士通にこの間、親指シフトの取材をしようとしたら、そういうネガティブな取材はしないで下さいと。許し難い。】という件。
(中略)
富士通としては、(現状では商業的な旨みが薄い?)NICOLAを単独で取り扱うことについて、難色を示したとしても仕方がないのではないか……と、私はそう感じています。
一方で、富士通にとって「イメージアップにつながる」ような方向性が見えれば、取材をしやすくなるかもしれません。
これは、ある親指シフトユーザーのブログの内容に関してのコメントです。
親指シフトユーザーはもちろん親指シフトに対する思い入れがあります。だから、いろいろなところで親指シフトに関することを書いたりしています。親指シフトのことを知らない人に知ってもらうためは良いことなのだと思います。
一方で、親指シフトは日本語入力の方法としては現状、圧倒的なマイノリティーであると思いますので、親指シフトユーザーはいろいろな意味で歯がゆい思いをしています。特に、親指シフトを産み、育ててきた富士通が親指シフトに対して冷たいと感じさせるようなことには敏感に反応する人が多いようです。
この感情自体はある程度分かるものの、それを声高に言い立てることに関しては大きな違和感があります。
一つは、親指シフトに関しては今や、日本語入力コンソーシアムという団体が管理をしていることです。この団体は、富士通を含む関係会社が親指シフトの普及を目指して作られたもので、この時点で、親指シフトは一会社だけでなく、より広いベースで支えていこうという理想があったのです。その後の推移は残念ながら思った通りではなく、親指シフトは普及していません。とはいっても、親指シフトが普及しないことを富士通一社だけの責任とすることは必ずしも当たっていないと思います。
もう一つは、このようなネガティブなことを言い立てること自体、親指シフトユーザーの利益になるのかどうかです。少しでも残っている親指シフトのベースをどのようにすれば広げられるかという冷静な判断をもって対応するべきではないのかということです。上記引用の筆者のかえで(yfi)さんも「『失敗した手順を繰り返す』ことではなくて、『使いやすかった時代をもう一度取り戻そう!』」とおっしゃっていますが、その通りだと思います。
親指シフト、おすすめします(@夏のひこうき雲)
http://d.hatena.ne.jp/summercontrail/20070624/oyayubishift
既にローマ字の時よりも入力速度が早くなっています。それでいて手は疲れない。親指シフグレソル、余は満足です。
このブログの筆者は親指シフトを始めて2ヶ月くらいです。親指シフトの効果が現れてきているようで、私もうれしく思います。疲れないという特長を感じて、それを書かれているのは重要です。なぜかといえば、こうした特長はなかなか数字などではとらえられず、実際に経験した人の感覚がたよりだからです。
この引用のあとに具体的なメリット、デメリット、練習の時のコツなどが書かれています。最後は以下の文章で締めくくられています。
この記事を書くのに費やした休日の数十分が、皆さんの今後の数十時間?を節約するのに役立つなら、余は満足です。
これは参りました。親指シフトを始めてそんなに経っていない人が、これから親指シフトを始めようかと思っている人のために記事を書いているのです。こうした具体的なアドバイスがあるかないかで親指シフトへの移行がどれだけスムーズにいくかに影響が出てくるのです。
親指シフトを現に使っている人は親指シフトの恩恵を一番受けています。親指シフトが普及しない現状にいらだつことも分かりますが、親指シフトの初心者(とあえて言うことをお許し下さい)が、これから親指シフトを始めようかと考えている人のことを考えている時に、愚痴を言ったり八つ当たりする(少し言葉がきついかもしれませんが)ことがどれだけ役に立つのでしょうか。少しでもポジティブなことを見つけて拡大していこうとすることが親指シフトから受けている恩恵へのお返しになるのではないでしょうか。そして、結果として親指シフトのコミュニティーが広がることは自分にとっても利益になるはずです。親指シフトの普及にはこうした冷静な計算が必要なのです。
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コメント
「元の記事を起こした方≠実際に発言された方」である点を心配してはみたものの、せっかく「チャレンジする方が増え始めている」らしき現状の雰囲気が壊れてしまっては洒落になりませんので、ひとまず書かせていただきました。
あの意見が届くかどうかはわかりませんが、いずれは「たくさんの取材を経て、イマドキの日本語入力事情を伝える」記事が出てくるであろうことを、期待したいと思いました。
投稿: かえで(yfi) | 2007/06/25 01:10
>元の記事を起こした方≠実際に発言された方
確かにおっしゃる通りで、伝聞での議論をもとにあれこれ言うのもいかがなものかということはありますね。それを差し引いても、あのように書かれると一言いいたくなるのも親指シフトユーザーの業かもしれません。
投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2007/06/25 21:51
親指シフトとのつき合いはオアシス100発表の時からと言って良いので、すでに25年も前ですね。
ワープロが一番、盛り上がったのはパソコン通信が始まった1987年頃ではないかとも思います。
一言でいえば、ワープロは1980年-90年が一番の花で、90年代になるとDTPなどワープロの文字入力中心からその他の表現力の要求が高まり、現在の html(xml)の時代に変化していったのでしょう。
そこで、ワープロから親指シフトに移って来たのですが、この間のキーボートの方式争いにも「JIS化問題」など色々あったのですが、今になって考えると、インターネット技術の観点からはPC用キーボードは必須で、日本語だけ入力できればよい、というのでは時代について行けません。
先日「撥音で小さい字を入れるのに抵抗がある」という意見がありましたが「へ~そういう人もいるのか」とヘンに感心してしまいました。
こんなことを総合すると、(親指シフト)キーボードの将来というか現状は20年ぐらい前とはいつの間にかかなり違っているように思います。
●キーボードの重要性が、全く変わってしまった。
昔に比べて、文字を使わない表現が増えています。
もちろん、文字を絵にするとか文字入力そのものが不要ということではないけど、主から従になったことに変わりはない。
●使える時間が同じだから、何かが増えたらそれ以前の手法は減る
文字を入力するよりもURLをリンクするとか、デザインするといったことが増えると、必然的に文字入力そのものが減る。
●インターネット技術は今の段階ではプログラム的技術が重要
とりあえず Windows キーボード並みでないと実用上きわめて不便。
こんな事を総合すると、音声入力とセット地になったキーボードといったモノが出てきても不思議じゃないし、そもそもキーボード全体の地位が80年代とは比べものにならないほど低下しているのですから、たぶん親指シフトキーボードについても「キーボード」ではない表現たとえば「親指シフト入力」といった具合にする方が良いのかもしれないですね。
投稿: 酔うぞ | 2007/06/26 09:24
酔うぞさん、久しぶりです。
コンピューターを使った作業における文字入力の占める位置がどのように変化したのかは大事な論点です。
確かに、パソコンを使う中で文字を入力するだけでなく、他の作業(例えばグラフィックやサウンドなども)をやることが多くなっているのはうなずけます。
しかし、普通の人が一番使う作業が文字入力であるというのは変わらないのだとも思っています。ブログでも何はともあれ文章を書くことが重要だと思われているのではないでしょうか。
パソコンにおける文字入力が専用ワープロの時代と少し違っていると私が思うのは、専用ワープロの時代はそれこそ「文字入力がすべて」ということがあり、メーカー各社はそのことにかなりのリソースを割いていました。結果として、文字入力について各社がバラバラに競ってしまい、ワープロというプラットフォーム全体に通用する技術としての文字入力という考え方が薄かったのではないかと思います。
もちろん、パソコン時代でもその傾向は残っていて、OSや日本語入力プログラムの違いで、文字入力の技術には差が出ています。
こうした中でも親指シフトは、OSやアプリケーションの違いを越えて共通に使える技術として四半世紀の間、維持されてきています。私が時々言う「親指シフトはWeb2.0だ」とは、OSやアプリケーション、ハードウェアの違いを越えて使える(これこそはWeb2.0の本質だと思います)技術としての親指シフトの有効性を強調しているものです。
もちろん、現実的には酔うぞさんがおっしゃられるような文字入力の占める位置の変化ということは考慮しなくてはいけないと思いますが、根本的な問題として考えると親指シフトの有効性は増していると考えた方が良いのではないかと思っています。まあ、あんまり教条的になるつもりはないんですけどね。
投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2007/06/26 21:13