Re: ローマ字と失読症(@鍵盤録 :: Lo Studio delle Tastiere)
正書法とキーボード入力の複雑な関係。
http://d.hatena.ne.jp/tastiera/20060318/p1
「か」という1文字は、[ka](無声軟口蓋破裂音→開前舌非円唇母音)という二つの音素の連続に対応している。つまり、経済的にできている。ただし、「しゃ」などを1文字で表わせるようにすればもっと経済的になる(ここでは歴史的経緯は無視する)。
文字による音声の表記の方法論は言語により大きく違いがあります。これが正書法と呼ばれているものです。一般的に新しい正書法(例えば新しい文字体系を作るとか、これまでの歴史を抱えた正書法を一挙に合理化してしまうとか)は、きちんと決まった比較的簡単なルールに基づくものが多い傾向があるようです。例えば、ハングルやスペイン語は正書法改革が割合最近に行われたために、音声との整合性は高いようです。
しかし、どのような言語でも音声と完全な対応があるわけではないし、完全に対応させることに大きな意味があるわけでもありません。だから、文字の表記は音声との関係で何らかの不完全性を常に持っています。
これが文字の入力の技術に及ぼす影響を考えてみます。
文字と音声との関係が完全に簡単なルールで決められているわけでないとすれば、音声の持つ特徴だけに注目した方法が常に最適であるとは言えません。むしろ、それぞれの言葉の正書法の特徴を生かした入力方法を採用することの方が適切であることもあります。
一つの思考実験として、日本語の表記がある時からローマ字になってしまった場合、かな入力は「1打鍵で2文字打てる合理的な方法」として受け入れられるでしょうか。
いろいろな言語の文字の入力方法を見ると実にさまざまなやり方があります。ソフト的な手法の活用がコンピューターにより実用化されたことが寄与しています。
それらのうち、どれが良いかはいろいろな視点から判断しないといけません。ふだん使っている正書法との相性のよさといったものも判断の材料になる可能性もあります。最終的な判断は実際に使ってということになるのかもしれません。
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コメント
そんなタワゴトを書きちらかしている本人ですが、こんにちは、gicchonさん。
正書法につくか、正書法を超えた方法に慣れ親しむか、あるいはその混合、そして引っ張り合い、といった問題でしょうね。このおはなしは、トラックバックをいただく以前の、3月19日の記事におおよそつながっていて、「慣れないことは大変だ」とミもフタもない締めとなっておりますので、どうぞ。
投稿: tastiera | 2006/03/24 12:39
tastieraさん
3月19日の記事も読んでいて、どちらにトラックバックをしようかと迷っていたところでした。内容的につながっているのは意識していました。
私の記事も何だかしり切れとんぼのような締まりがない終わりになっていて、気持ちが悪いのですが、これは私の文章の拙さですのでご容赦を。
投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2006/03/24 23:05