Re: 「最適化」された NICOLA?(@鍵盤録 :: Lo Studio delle Tastiere)
親指シフトは何に最適なのか。
http://d.hatena.ne.jp/tastiera/20051226/p1
いわゆる富士通の「親指シフト」について、「日本語入力に最適化された」などの形容が加わる例をよく見かけるけど、「最適」ってレトリック? それとも、本当に「いちばん」適した、という意味?
このような議論の時に大事なのは「目的が何か」と「どのような制約があるか」です。数学などで「最適化問題」と言えば、形式的には「これこれの制約条件の下でこれこれの目的関数を最大化(あるいは最小化)する」というものになります。
だから、目的関数の定義のし方によって答が異なるのは当然です。
キーボードの選び方だって、極端なことを言えば「今一番使われているやり方(おそらくローマ字入力)からの移行コストが最も少ない」という目的をとれば、答は明らかです。
親指シフトが最適解となるような制約条件と目的関数は「キーボードによる入力をこれから覚えるという条件で、覚えるコストと使用コスト(使いにくさ)のミックスを最小にする」だと考えます。これはローマ字入力、JISかな入力、親指シフトの比較ではすでに結論が出ていると考えられます。
もちろん、これをもって親指シフトがどのような状況でも最適であるということはできません。繰り返して言えば、最適化の定義をきちんとしなければ、論証に耐える議論はできないのは当然なのです。
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コメント
こんばんはー、杉田さん。
そうなんです、「日本語入力に」としか前置きがないと、目的があいまいなんですね。
それと、NICOLAとは別件ですが、よく使われる「最適化」という言葉ですが、(「最適化した」などの完了表現の場合でさえ)、どうも、最適なものを求めた後のことを「言っていない」気がするんです。それが自分の記事後半のギモン。でも、この訳語は定着しているみたいで。
投稿: tastiera | 2005/12/27 23:05
「最適化」がその時点で利用可能な技術などの条件を前提にせざるを得ないのはしょうがないところがあります。
しかしながら、作られたものはそれが具体的なものであれ規格であれ、将来に使われるので予測しがたい状況が出てくることも当然あり、前提条件が変わってしまえばまったく不適当なものになってしまう可能性だって当然あります。
このあたりは、とても難しい問題だと思います。特に目的とするものについてコンセンサスがないと、何をやっているのか分からないということになってしまいます。
投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2005/12/29 14:21