Re: もっと早くからローマ字を(@校長・・学校のおやぢ)他3件
ローマ字をもっと早くから学ばせるべきだというAYETOWNさんの意見です。
http://blog.livedoor.jp/ayetown/archives/25356648.html
教科書にないから低学年はカナキーを使う。ローマ字を習ったらローマ字キーに変える。これは二重の負担ではないか? 始めからローマ字にすればいい。
これは、高学年になってから(そしてそれ以上になって大人になっても)キーボードによる入力はローマ字入力になるのだから、ということが前提になっているように考えられます。
この記事を紹介したかな打ち!さんは、以下のように反論しています。
なんか順番がおかしくないか?(@かな打ち!)
http://typing.cocolog-nifty.com/blog/2005/06/post_d6b0.html
「ひらがなの配列を覚えるのは二重負担。ローマ字入力をするために、ローマ字を早期に教えよう。」なんとも、本末転倒なことだと思います。
ローマ字入力を強制せず、のびのびとやらせれば、自然に「かな入力」になります。正しいタイピングを教えれば、日本語はかな入力が自然です。タイピングの方法は同じです。アルファベット・英文の入力もできるようになります。
姫踊子草の作者の鈴見咲君高さんも次のような問題を指摘しています。
子どもが自尊心を持てるかどうかのチャンス(@姫踊子草の楽屋裏)
http://suzumizaki.blog6.fc2.com/blog-entry-61.html
- 子供の多様性を認める気がない(ように見える)。
- 道具に対する考え方を教えることを忘れている。
かえで(yfi)さんは、自分の中学時代の経験から以下のように考えています。
別にどちらでも良いのですが、とりあえず「押しつける」のだけは止めてください。(@雑記/えもじならべあそび(飛鳥カナ配列で綴る、無変換な日記)
http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20050621/1119327097
私は中学校時代であってもローマ字入力を押しつけられた経験はなかった気がしたので(かなり幸運だったのかも…?)、こういう「全て矯正してしまえ~!」的な話を見ていると、妙にイライラするんですよね…。
#かなでもローマ字でも、本人の好きなように打たせておけばいいじゃん…という感じ。
なんだか、批判的な意見だけ集めてしまったようですが、最初にあげたブログの記事のコメントには賛成の意見も出ています。
子どもにどのようにITの使い方を教えるかは、これからの社会のあり方を考えるに当たってとても重要な問題です。ITをどのように生きていく技術に結びつけていくかをきちんと教えていくことは、それぞれの子どもにとって大問題であると同時に、社会全体がどのようになっていくかという問題でもあります。
キーボードによる文字の入力の技術、そしてそれをどのように教えるかもこうした視点から考えなければなりません。私のブログでも、これまで子どものキーボード入力について記事を書きました。
http://thumb-shift.txt-nifty.com/contents/2005/01/re_nagi2.html
http://thumb-shift.txt-nifty.com/contents/2005/03/re_new_3.html
そもそも、教育には、子どもの個性を育てることと子どもを社会の規範に合わせるようにするという、なかなか両立させることが難しい課題があります。どちらもできなければ、子どもの将来も社会の将来も暗いものとなります。
キーボードによる文字入力は、おそらくITがどのような方向に進むにしろ必要がなくなるものではなく、むしろ読み書き算盤と同じような基礎的な技術として伝えられていくものであると考えています。そうだとすれば、その選択は、これから子どもが長い間使うことを考えて、良いものを社会が用意する義務があります。決して短期的に覚えやすいという理屈(それだってきちんとした検証が必要です)で決めてしまってはいけないものなのです。
もちろん、現実の世界においては現在の世の中の状態をベースに出発しなければならず、「白地からスタートする」ことはできません。そうだとしても、「今あるものが合理的」と言ってしまえば議論はそこで止まってしまいます。そうならないためにも、alternativeを常に用意しておくことは社会的にも正当なことなのです。
キーボード入力では私は親指シフトは最も優れたものの一つであると信じています。だから「セールスマン」という役割をしています。でも、そう思わない人がいることも理解しています。それでも、より良いものを求めていこうとする気持ちには共感ができます。こうした気持ちの連鎖を生かせるようにすることが、これからの教育、そして社会のあり方として大事なのではないでしょうか。
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コメント
言及いただきありがとうございます。
で、さっそく新たに記事をあげていますね。
http://blog.livedoor.jp/ayetown/comment.cgi/26073959
ポジティブに反応いただけて嬉しいですね…と共に、勢いで書いてしまった点を反省している部分もあります。
(もっとまともな書きようがあったのかも…など)
先生方には、「かな入力とローマ字入力があること」と「他にも色々な方法で文字入力が出来ること」の2点を、漏れることなく教えていただきたいなと思いました。
あちらの新記事にあった「ローマ字教育の見直しが始まる」というのも気になります。
これからどういう方向に向かうのか、見所ですね。
投稿: かえで(yfi) | 2005/06/23 01:59
「教育新聞」の記事に相当する情報が、文部科学省のサイトでは見つかりませんでした。
「日本語のローマ字表記」の学習は、パソコンのキーボードによる日本語のローマ字入力が使われるようになるまでは、ほとんど顧みられることがない些末な単元でした。
アルファベットは中学校第1学年の英語科で習うようになっていますし、
算数でm c l d g t を「筆記体」で記号として習う。
国語科でローマ字表記を習う前に、国語科でアルファベットを習うという順番にはなっていません。
国語科の「ローマ字表記」の学習は、なぜか「英語の学習」に絡めて考えられることが多い。英語の会話と読み書きができるようになっていれば、追加のコストなしにできるようになるローマ字表記をなぜ先にやるのでしょう。小学校の英語学習ではむしろ「文字を使わない」のに、なぜ同じ時期に国語科で。
「大人になったら、社会に出たら、いずれ」という理由付けは、学習の順序や学習者の発達段階を考えていないのではないでしょうか。
「ローマ字入力」によって、「ローマ字教育」が息を吹き返したのです。教える側が「ローマ字入力しかできません。」という都合によって。
投稿: shino | 2005/06/23 06:19
そもそも,小学校におけるローマ字教育は,普段使っている漢字仮名まじり
の文章を,アルファベットの一部を使って読んだり書いたりできることを知
り,五十音の持つ意味を別の角度から再認識するというのがねらいだったの
ではないでしょうか。それ以上でもそれ以下でもありません。
> 「ローマ字入力」によって、「ローマ字教育」が息を吹き返したのです。教える側が「ローマ字入力しかできません。」という都合によって。
これって,まったく本末転倒だと思います。
投稿: azuki | 2005/06/23 06:59
かえで(yfi)さん、shinoさん、azukiさん
元の記事の出ていたブログでも少しずつ議論が進んでいるようですね。理解が進むような形で議論が深まっていけば良いなと思っています。
この議論は、ローマ字を日本語の正書法の中でどのように位置づけるかという、日本語を使う人全体に大きな影響を及ぼすテーマに直接結びついています。ですから、あまり簡単に考えることはできません。
もう一つの論点としては、もちろんコンピューターと文字入力の問題で、これ自信ももちろん大事なものですが、先にあげた問題ほどではないと思われます。
なぜかといえば、大事なのは「できあがった文章」なので、そこに至る過程は誤解を避けずに議論を簡略化してしまうと「どうでも良いこと」だからです。もちろん、文章を作る本人にとっては大問題で、それだからこそ文章のプロは入力方法に関して皆さん一家言お持ちなのですが、そこに他人が入る余地はありません。
何が言いたいかというと、文字の入力方法については「自分の使いたいものを使えるようにすることが一番良い」という、実につまらない、しかし忘れてしまいがちなことなのです。
私はセールスマンですので(笑)、「親指シフトが良い!」と言って宣伝している訳ですけど。
ところで、一連の議論を見ていて、ふと思ったのは「ローマ字入力」という名前は果たして適切なものであるかということです。何を言いたいかというと、ローマ字入力をする時に、日本語のローマ字による表記を頭の中に引っ張りだしてきているかどうかということです。
これは前の記事にも書いたのですが、ローマ字入力をしている人は、単に指の動かし方で文字をスクリーンに出すやり方を覚えているということなので、ローマ字表記のことを考えなくても良いのではないかと私は推測しています。それならば、別にローマ字を途中に介在させなくても良い訳です。
もちろん、みかげさんの記事にあるように、最初に覚える時にはローマ字表記を思いながらとりあえず使えるということではありますが、それではタッチタイプはできません。
習得するべき技術がタッチタイプであるとするなら、ローマ字のことは忘れてしまわないといけないという、分かりにくい議論になりますが、「ローマ字入力という名前が適切か」という私の問いはそうした意味があるのです。
なお、この議論は実はかな入力でも成り立つのかもしれません。つまり、かなのことを考えなくても、指を動かせばスクリーンに文字が出てくるというのは同じだからです。・・・うーむ、だんだんわけがわからなくなってきた。
投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2005/06/25 15:42
ローマ字綴りを手掛かりにして入力する方法を「ローマ字入力」、かな文字を手掛かりにして入力する方法を「かな文字入力」…としてしまえば、それぞれの名前は一応正しいことになりそうです。
ここであえて「かな入力」としなかったのは、下記記事の意見に引きずられているからだったりします。
http://minashiro.seesaa.net/article/4492262.html
完全に手掛かりを使うことなく入力できるようになれば、それは間違いなくタッチタイプですね。
考えていることを打つ場合は…いや、私にとっては、それが一番重要だと感じます。
今の私にとっては、飛鳥がそれに該当します(「ぬ」や「ヴ」など、あまり打たないキーについては未だに怪しいですが…)。
ぎっちょんさんの言葉をお借りすると「かなのことを考えなくても、指を動かせばスクリーンに文字が出てくる」状態に、とても近いです。
で、もう一つ…「手掛かりは頭に浮かぶけれども、タッチタイプはできている」という状態もあり得る気がします。
私にとってはローマ字入力がそれで、打鍵している側から英字なりカナなりの手掛かりが浮かんできて、見事に思考の邪魔をしていました…ここまで来ると、もう「私はローマ字入力との相性が悪い」としか言いようがありません。
#前々から「自分は飛鳥よりもローマ字入力の方が早く打てる」と書いていましたが、今もそれは変わっていません。
はたして、「より速く打てるが、手掛かりは頭に浮かぶ」状態を、本当にタッチタイプと呼ぶべきなのだろうか?という点には、とても興味があります。
私の見方では「キーボードを見ずに打てていれば、タッチタイプの要件は成立しているはず」なのですが、結局は「答えは人それぞれに違う」と言うべきなのかもしれません。
ローマ字入力の感じ方については、水城珠洲さんの考え方に近い方もいれば、みかげさんの考え方に近い方もいると思います。
重要なことは「どちらが正しい(多数派)のかを考える」事ではなく、「色々な考え方・感じ方があるという事を知る」事なのかもしれません。
「ローマ字系vsかな系vs漢直系」に関しても、これはたぶん同じなのかな…と。
もしも正しい議論が続くならば、その先には「特定個人に向くタッチタイプ習得方法を探すためのフローチャート」や、「特定個人に向く入力方法を探すためのフローチャート」などが出てくるはずだと思います。
現時点でそれが出来上がっていない…ということは、「かつての議論」には、何かが欠けていた…ということなのかもしれません。
私から見た「かつての論議」を乱暴に纏めると、それは「ネガテイブキャンペーンの応酬」であったと思います。代表的なものとしては「○○配列を使っている人は皆○○だから(以下略)」でしょうか。
今はひるがえって「ポジティブキャンペーン」なのかも。
PCでの文字入力に不満を持った方が、すぐにでも「色々な解決方法があるのだ、ということに気づくことができる」時代にしたいですね。
投稿: かえで(yfi) | 2005/06/25 21:32
かえで(yfi)さん
道具を使う時の気持ちを他人に分かってもらうのは難しく、議論もすれ違いになりがちです。それでも、何とかして議論の取っかかりを作ろうとすることは無駄なことではないと思います。
道具の理想の姿は「道具の存在を忘れてしまう」ことなのではないかと思います。ローマ字入力でもその他の入力でもタッチタイプも同じ思想に立っていると考えます。
個人の使いやすさと統一的な規格を用意することの社会的利益の関係も難しく、技術的、社会的な環境が変われば、また考え直さないといけません。うーむ。
投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2005/06/26 18:48
はじめまして。
トラックバックを送らせてもらったんですが、なぜかうまくいってません。
自分のブログに対しても送れないんですが、他社のブログへは送れているので、もしかしたらココログの問題かもしれません。
とりあえず記事のURLを貼っておきます。
http://orbit.cocolog-nifty.com/supportdiary/2005/07/post_48f5.html
よろしくお願いします。
投稿: ささもと | 2005/07/07 23:02
ささもとさん
ご連絡ありがとうございます。ココログでは、トラックバック先にココログのブログを複数指定すると、一回では全部にトラックバックが行かない仕様になっているそうです。これはトラックバックスパムを防ぐためとのことです。(ニフティーのサポートの方からの説明です。ただし、少し前のことなので、今でもそうなのかは確認していません。)
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この仕様はサポートに聞いて初めて知ったのですが、最初はオロオロします。FAQにでも載せておいてくれたら良いのにと思っているんですけどね。
書かれた記事については、私から見ていくつかの論点があります。きちんとした内容にするため、少しお時間をいただけたらと思います。
投稿: 杉田伸樹(ぎっちょん) | 2005/07/07 23:49